2003年にデビューしてから、ママさんを中心に高い支持を獲得しているシエンタ。

 

2006年、2011年にマイナーチェンジを経て、2015年に2代目として大きくモデルチェンジしてからは賛否両論を巻き起こし、支持層が二極化する事態にまでなってしまったと言ってもいいかもしれません。

そこで今回は、モデルごとのマイナーチェンジを比較、色や価格、試乗の評価などの違いをレポートしていきます。

マイナーチェンジ比較

車は、デビュー(初代初期型)、マイナーチェンジ1回目(初代中期型)、マイナーチェンジ2回目(初代後期型、初代最終型)で、モデルチェンジ(2代目初期型)…と続き、3~4代目で生産終了となるのが、大まかな流れです。

シエンタは、その中で現在2代目中期型。

業界的には、まだ歴史の浅い車ですが、マイナーチェンジ比較を基に、ヒストリーを紐解いてみたいと思います。

デビュー

2003年、小型でも3列シートで7人乗車を可能にしたコンパクトサイズのミニバンとして登場。

丸みを帯びた可愛らしいフォルムに、両側スライドドアを採用、一部のグレードには助手席側が電動スライドドア、運転席側はオプション設定という、使い勝手を見込んだ装備がママさんにドはまり。

高い支持を獲得しました。

マイナーチェンジ

2006年に行われたマイナーチェンジでは、フロントバンパー、グリル、ヘッドランプ、リヤコンビネーションランプなどの王道的な部分が変更され、ボディカラーを新色2色が追加になったほか、ウィンカー付きドアミラーが全車標準装備になり、全体的にスタイリッシュな外観へと変身。

加えて、フレシールという肌に優しい加工が施されたシートが全車に採用され、快適な座り心地を一層高められています。

また、グレードXに専用エアロパーツを装備した「S-EDITION」が新設定され、ラインナップの充実が図られているのも{セオリー通り}と言ってもいいかもしれませんね。

そして、このマイナーチェンジを機にネッツ店での販売が終了し、カローラ店での専売車種となります。

マイナーチェンジ2回目

2011年、王道的変化を遂げたシエンタは大きな動きに出ます。

新グレード「DICE(ダイス)」と、「X “Lパッケージ”」の登場です。

リヤコンビネーションランプがスマートな印象のデザインになり、マルーンブラウンマイカ、ライトブルーマイカメタリックの新色2種と合わせ、DICE専用色「ボルドーマイカメタリック」を含む全8色がラインナップ。

車内ではシート表皮の変更とともに、メーター類の視認性を高めたデザインになり、スポーティな3本スポークステアリングにシルバー加工を施すなど、クオリティが高められた変更がなされています。

メカニズムの方も、エンジン、トランスミッション、オルタネーターなどの制御系を改良し、燃費JC08モードで17.2km/Lを計上。

平成22年度燃費基準+20%を達成し、平成17年度基準排出ガス低減レベル75%と併せ「環境対策対応車 普及促進税制」により、自動車取得税と自動車重量税が50%減税されることとなります。

アクティブな外観の「DICE」と、上級グレードXをベースに装備を充実させた「X “Lパッケージ」の新設定によって、幅広いラインナップが充実したと言えますね。

2代目初期~マイナーチェンジ比較

フルモデルチェンジ

2015年、ミニバンの概念を打ち破るような程に様変わりしたシエンタは、賛否両論を巻き起こす「いろんな意味で話題作」となりました。

アウトドアではマストアイテムの「トレッキングシューズ」をイメージした外観は、先代モデルから全長135mm、ホイールベースは50mm拡大され、全高は2WDが5mm、4WDが15mm高くなった一方、全幅は1,695mmと5ナンバーサイズをキープ。

この若干のサイズアップでも、コンパクトカーの泣き所である「窮屈感」の改善に一役買っています。

そして、今回のモデルチェンジ一番の目玉であろう、「ハイブリッド車」の新ラインナップは見逃せないポイントですね。

ハイブリッド車は、ガソリンとモーターの共同作業で走るメカニズムである以上、モーターとハイブリット用バッテリーが追加されます。

それでもシートアレンジの妨げにならないような工夫が施されているのは、流石はトヨタ、と言ったところでしょうか。

まず、薄型燃料タンクはそのまま2列目シートの下に配置し、さらにバッテリーを2列目シートの足元の下に配置することで、3列目シートが2列目シートの下に潜り込む「ダイブイン格納機能」がグレード問わず使えます。

そして、先代よりスライドドアの間口を55mm低く、50mm広げる事で、乗り降りが格段にし易くなっています。

エクステリアや、実用装備は優秀な改良が出来た一方、唯一犠牲になったのは、「パワー」です。

先代が2WDで110ps、4WDで105psに対し、現行型2WDが109ps、4WDが103ps、ハイブリッド車がエンジン74ps、モーター61ps、システム最高出力が100psと、若干のパワーダウンが見て取れます。

しかし、それを踏まえて尚、有益なものが「燃費」です。

先代JC08モード13.2~17.2km/L に対し、現行型JC08モード15.4~28.8km/L。

ガソリン車でも、やり方によってはハイブリッド車に迫る燃費を叩き出すことができる、との口コミもある程に現行型の燃費効率が秀逸ならば、多少のパワーダウンも気にならなくなるかもしれませんね。

マイナーチェンジ(1回目、2代目中期型)

2018年に施されたマイナーチェンジは、ラインナップ構成の見直しから、エクステリアの細部変更、カラーリングの再編成、安全装備の追加でまとまっています。

まず、3列目シートを無くした2列シート「FUNBASE-X」、「FUNBASE-G」の2種類が新設定されました。(ハイブリッド車、ガソリン車の2WD)

2列目シートを倒す事で、フラットな荷室が2m以上も確保できる、車中泊をモロに意識した仕様となっています。

そして、2017年に特別仕様車としてデビューした「G-Cuero」を3列シート仕様の最上級グレードとした一方、廉価グレードの「X”Vパッケージ”」は廃止となりました。

安全面では、レーザーレーダーと単眼カメラよる、昼間の歩行者検知機能「プリクラッシュセーフティ」を追加。

後期高齢者ドライバーに多い、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急加速衝突事故を防止する「インテリジェントクリアランスソナー{パーキングサポートブレーキ}」を新設定、全年齢での安全に配慮したといえるでしょう。

更に便利機能にも余念がありません。

ここ最近密かに注目されている、車を上空から見下ろしたような映像をナビ画面に映し出す「パノラミックビューモニター」を、メーカーオプションながら全車に新設定されています。

カラーリング

シエンタの特徴として、豊富なカラーバリエーションがあります。

スタンダードな白、黒、シルバー、パールも良いですが、意外にも鮮やかな色合いも似合ってしまうから不思議ですねぇ。

このカラーの選択肢も、ママさんの支持を多く勝ち得た要因の一つなのかもしれません。

初代カラーラインナップ

ホワイトパールクリスタルシャイン

シルバーマイカメタリック

グレーメタリック

スーパーレッドV

ライトイエロー

ライトグリーンメタリック

アクアマイカメタリック

ブルーマイカ

ブラックマイカ

初代人気カラー

1位  ライトグリーンメタリック

2位  ライトイエロー

3位  スーパーレッドV

4位  アクアマイカメタリック

5位  ブラックマイカ

意外にも、定番3色は上位から外れる結果になりました。

女性的には、定番色は「物足りなさ」を感じてしまうのかもしれませんね。

2代目カラーラインナップ

ホワイトパールクリスタルシャイン

シルバーメタリック

ブラックマイカ

ヴィンテージブラウンパールクリスタルシャイン

クールボルドーガラスフレーク

センシュアルレッドマイカ

ラディアントグリーンメタリック

ベージュ(2列シート仕様車専用色)

{ツートンカラー}

ヴィンテージブラウンパールクリスタルシャイン×ホワイトパールクリスタルシャイン

ブラックマイカ×センシュアルレッドマイカ

ブラックマイカ×エアーイエロー

ブラックマイカ×ヴィンテージブラウンパールクリスタルシャイン

ブラックマイカ×ベージュ(2列シート仕様車専用色)

ブラックマイカ×ラディアントグリーンメタリック(3列シート仕様車専用色)

先代からこの増え方は異常とも思える程豊富なカラーバリエーションです。

ツートンカラーまでラインナップされて、ユーザーはかなり悩まされることになりそうですね。

2代目人気カラー

1位  ホワイトパールクリスタルシャイン

2位  ブラックマイカ

3位  センシュアルレッドマイカ

4位  シルバーメタリック

5位  エアーイエロー

支持層が拡大したこともあってか、テッパンの定番色が上位に返り咲きました。

シエンタのイメージカラーであるエアーイエローも、なんとか上位に食い込んできましたね。

個人的には、TOP3に入ると思っていたんですが…

試乗の評価

初期型 試乗インプレッション

  • フロントからサイドにかけて大きめに窓が作られているため、視界が広く見渡せて、運転し易い。
  • ロードノイズは少し気になる。
  • 車体剛性がしなやかで、サスペンションにリンクするように振動をトレースしているため、少々荒れた路面でもストレスを感じにくい。

運転しやすいのは、女性でなくとも有難いですよね。

ボディとサスペンションが連動しているかのように走行の振動をトレースするということは、シャシーがしっかりしている証拠だとプロドライバーは言っています。

ママさん達は、見た目だけでシエンタを支持しているのでは決してなかったんですね。

2代目 試乗インプレッション(ガソリン車)

  • フロントからドアの窓が大きいので目視確認の時にとても見易い。
  • アクセルの踏み方に対して素直に付いてくるエンジンは優秀。
  • 排気量(1.5ℓ)のわりにはエンジンのパワー感がある。
  • アイドリングストップ中でもエアコンが効くのは有り難い。
  • ブレーキのフィーリングも自然で優秀。
  • 先代同様、足元が狭いので、大柄な人はドライビングポジションを要確認。

初代ですでに優等生の素性があったからか、かなり高評価のようです。

特に視認性とエンジンフィールはプロドライバーも感服するほどの完成度なんですね。

2代目 試乗インプレッション(ハイブリッド車)

  • 視認性は抜群。
  • 静かなだけに、ロードノイズが目立つ。
  • ガソリン車に比べると、パワー的に少し見劣りする感じがある。
  • エンジンとモーターの切り替わりが分かりやすいから、燃費効率の良い走らせ方が無理なくできる。
  • ハイブリッド用バッテリーが高額で、アイドリングストップ機構もついているため、そのバッテリーも高額なので、そこだけは意識しないといけない。

まとめ

ママさん達に愛されたシエンタは、実は相当な優等生だったんですね。

その優等生は、実力をさらに磨き上げ、新たなステージに踏み出しました。

大きな違いは、極端に増えたボディカラーと、ハイブリッド車のラインナップでしょうか。

どちらも、かなりハイレベルな完成度に仕上がっていますが、ガソリン車を勧める声もあれば、ハイブリッド車推しのドライバーもおり、どちらも一長一短あって、迷ってしまいますね。

どちらにせよ、試乗して乗り比べをするのをオススメします。

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